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「海」94号(三重県いなべ市)② 読ませる歴史と風土を描いた国府正昭「赤須賀船異聞」、宇梶紀夫「筏師」

 投稿者:根保孝栄・石塚邦男  投稿日:2017年 5月27日(土)21時28分20秒
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  ・紺谷猛「終点まで」は、電車で不思議といつも隣り合わせになる二人・・それぞれ病院にかかることになるのだが、身元保証人や手術の同意書などの問題をクリアしないと一人住まいの者は入院も手術もできない・・その手続きにしぼっての例をガイド的に書いているところが面白い。電車でいつも隣り合わせになるのに、会釈だけで別れる二人の背負った病院問題・・・というスポットの当て方はユニーク。

・白石美津乃「青い糸」は、さと子がテレビを観ていると、昔ホテルに勤務していた若い頃、一時付き合っていた役者の寺澤が朝のワイドショーで映っていた・・。その寺澤と付き合うようになったいきさつと別れの次第・・。良くある話ながら、男女の微妙を女の目線から書けている。

・南柊一「交差点」は、高校時代の同級生に久しぶりに偶然出会ったその出会いと、あっけない友人の死。その運命の偶然と必然を両方の視点から交互に描写する手法を選択した作品は人間の運命を考えさせられる。

・国府正昭「海原を越えてー赤須賀船異聞」は、人生最後の遠出に、紀和は、記憶の中にだけ生き続けている七十数年前の清太の顔だちを思い出そうとしていた・・・。その清太の目線から、赤須賀の漁村と日独伊三国同盟時代の生活を描写する内容は、ひとつの時代を再現する意味で貴重な作品たりえている。

・宇梶紀夫「筏師」は、寛保二年(1742年)、高原山で伐採した木材を筏に組んで鬼怒川を流れ下り、目的地に運ぶ筏師の話。当時の木材事情、山奉行から許可をもらって、請負組織の仕組み、伐採から収入の分配など当時の林業の在り方を明らかにしながら、村人の生活、運命を語る内容は、暴れ川の鬼怒川の歴史とともに注目すべき作品になっている。

・詩作品は川野ルナと遠藤昭己。
川野ルナ「かもしれない」の第一連紹介。

      心を 広く持てるといい/目先のことで 怒るのではなく
      /目先のことで 責めるのではなく/心を 軽く持てるといい
遠藤昭己は「羨望」「夢のまた夢」の二編。「羨望」からイントロを紹介。

      ひたむきに愛することができないのは/自分が
      /あの 緑の虫になれないからだ/虫が考えるように
      /宇宙全体を 緑と思っていないからだ


   ・暴れ川と言はれし鬼怒川筏師の運命語る作品読みき   石塚 邦男
 
 
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